『金魚あげるよ』
不意に投げかけられた
このセリフを聞いた時には想像もしなかった世界がそこにはあった…
とある何の変哲もない初夏の日、確か2017年7月7日、旧友の女友達(以下Y美)から『金魚いる?』みたいな感じのLINEが来た。
なんでもそのY美の親戚のおばさんの旦那さんが飼育していたらしいがパーキンソン病と言う難病にかかり手に負えなくなってしまって里親を探しているらしい。
ちなみに筆者の本業は美容師である。
このY美もその親戚のおばさんも当美容室の常連のお客様である。
そこまで気を使う感じでもないのだが、常連のお客さんが困っているし、筆者の息子たち(現在4歳と2歳の男児)も喜ぶかな??と思い軽い気持ちで…
『じゃー店で飼育しまっせw』と、何度も言うが軽い気持ちで迎えることにしたのだ。実は使ってない水槽もあった。
実は水槽はあったのだ。なぜなら以前一度ベタと言う魚を店で飼育しようかと目論んだ事があったので、その時に調達したのがあった。
ちなみに『ベタ』とはこんな魚だ↓
どうだね美しかろう?グラスに入れられているが、これは間違った飼育法ではないのだ、ベタは鰓呼吸の他に肺でも呼吸できる魚なのでエアレーション、いわゆるブクブクがいらないのだ。 しかも闘魚と言われるほど気性が荒いので1匹飼いが基本なのだ。
そのベタを買おうと思って幅900mmの水槽を買ってあったのだ。
…そう、グラス程度の大きさでも飼育できるのに1匹で飼わなければならないのに900mm用意する辺りが美容師なのだ。
はっきり言ってデカすぎる。何故過去の自分がこのデカさの水槽を選んだのか自分でもわからないほど美容師とは基本的に無茶苦茶な人種なのだ。これはトリビアに登録できる驚愕の事実だ。
しかし、結局はその時はベタを迎え入れることはしなかった。
900mmの水槽を使わずじまいになったのだ。その理由は筆者の母が『魚クセーのはちょっと…』っていう理由だ。ちなみに母は筆者の美容室に顔を出す事は年に2回ほどだ。何故その時言う事を聞いたのか、それも未だに解せない。
話は戻すが、今回は魚クセーとか言わせないために黙って迎え入れる事にした。900mmの水槽に空気を飼っていても面白くないからだ。
そして2017年7月12日午前…その時はやってきた。
発泡スチロールの箱に入れられて金魚がやってきたのだ。
たかが金魚だが、900mmの水槽に空気以外を入れられるとあって筆者は非常にテンションが上がっていた。デビュー当時の藤井隆もビックリのアゲアゲ具合であった。
そして発泡スチロールの箱が明けられた瞬間…
筆者は寝起きの金魚のようにフリーズする事となったのだ。
藤井隆からただの美容師に戻った瞬間である。
その時の原因の映像がこれだ↓
『俺の知ってる金魚と違う…』
なんか顔がボコボコしてる!一子相伝の拳法家に秘孔突かれて爆発3秒前いの顔してる…
『ひ、ひでぶ~』みたいな。
と、同時にこうも思った。
『コレ…高ぇんじゃね?』
調べたら(らんちゅう)と言う金魚らしい。金魚会では高級魚の代名詞になるほどらしい。品定会なるものもあり、高い物は1匹13万円以上の値がつくこともあるらしい。 急に可愛く見えてきた。
いや!!、元々魚が好きだから!この愛嬌のあるボコ顔がたまらなくツボに入ったからである。決して金額に踊らされたわけではないのだ。ちがう、ちがうぞ!
ボコボコが大きい方が高い。とか、尾が4つ尾のほうが高い。とか色を鮮やかにする方法とか。その時ソッコーで調べたが決して値段に踊らされた訳ではないのだ。
そもそも筆者はいわゆる『和金』という夏祭りなんかで金魚すくいでもらえるようなオーソドックスな金魚を想像していたのである。こんな奴↓
色のついたフナとでもいおうか…筆者が幼少の頃はコレが大人になるとタイになるのだと信じていた。
まぁ可愛いのは事実だ。特に黒い奴が可愛い。
動きが速いのだが、全然進んでいないのだ。
魚の癖に泳ぎが下手だ。
この生物には全スペックで勝利できると確信した。
『下等生物め…』とベジータの台詞を借りてみるが愛らしいその姿に筆者の表情が釣り合わない。兎に角、可愛いに尽きるのだ。
それからと言うもの、予算を出来るだけ掛けないように飼育していこうとしていた概念は消えた。チリと消えた。そんな概念があった事も忘れた。
迎え入れた当時は水槽と水しかなかった環境に続々と設備が追加されていく。
まず購入したのがエアレーションだ!
買いに行ったときは完全なる無知だったために店員を捕まえて言われたもの全部買う勢いでいったのだが、この安物ひとつで十分だ。と言われた。いや、もっと丁寧な言い方だったが、副音声式に『ド素人めが…』みたいな声が聞こえてきそうな冷たい死んだ魚のような目で答えられたのでそれ以上の追及が困難な状況であった。
今思えば、同じ接客のプロとしてその感じはいかがなものかと思う。まぁ、生き物を飼育する上で下調べもせずに店員に聞けば良しスタンスの筆者もどうかと思うが。
晴れてブクブクもといエアレーションの入った水槽に引っ越しの完了したらんちゅうどもであるが、カルキ抜きと温度だけは必ず合わせた方がいいと、Y美の親戚おばさんに言われていたのでそこだけは忠実に守った。冷めた目つきの店員に聞くよりY美の親戚おばさんが頼りになる。
少し殺風景ではあると思う。
筆者は血液型はO型である。
ここでのO型発言がいかに危険か、敏感な読者なら感づく事であろう。殺風景なんだよなー…で色々やらかした。
やれ砂利入れてみるか!で買ってきた砂利を袋開けてそのままザーっと。
水草入れてみるかで買ってきたホテイアオイとカボンバと言う草をそのままドーンと。入れてみた。
これね、後から調べたらマジアカンす。
病気の元、そもそも砂利とかすすいで洗わないと入れた瞬間に濁るしよからぬ泡がたつし…入れた瞬間『カオス』でしたね。あって思ってすぐに新しいカルキ抜きの水用意してらんちゅうの連中を避難させました。
らんちゅうの連中が軽くパニック。語呂がいいから言いたいだけ。
そして現在は結局砂利は撤去してホテイアオイも撤去。理由は砂利のせいでウンコ掃除が困難だと言う事と、ホテイアオイが死ぬほど臭い。天に召されるかと思うくらい臭い。布袋さんのバンビーナになる所でした。ホテイダケニ
と言うかこのらんちゅうの連中が来てからと言うもの筆者の頭の30%はらんちゅうに占領されています。それくらい気にかけていたからかな?
来て3日目で産卵してんの。なんかカズノコくらいのタマッコロがその時はまだあったホテイアオイにいっぱいくっ付いてて『もしや!』と思ってIpadでらんちゅうの卵で画像検索したらドンピシャでした。
そんなことあるんだね。
らんちゅうの卵は親とは別の水槽で25℃の水温でエアレーション炊きながら5日ほっとくと孵化するらしい。
半信半疑で5日ほっといたらまつ毛のゴミみたいなのがピョンピョン動いてるのを発見した。
現在は生後2週間くらいだがこんな状態である。
解るであろうか?向かって左が生後2週間のらんちゅうの稚魚。右側にあるのがまつ毛のゴミではなくて生後2日の稚魚である。
5匹もらって受精卵を後先考えず出来るだけ孵化させたのだ。現在は稚魚が21匹いる。言わば計26匹のらんちゅうオーナーだ。
現在全力を投じて貰い手を募集している。形が悪いとかそう言う事を気にしない方限定だ!どれもこれも同じ命だ。
そんなこんなでらんちゅうを飼育しているのだがものすごく水槽が汚れる。ウンコしすぎなのだ。金魚を飼っていてウンコが出るのか、ウンコを飼っていて金魚が居るのかわからなくなるほど立派なウンコをする。すごく長い。そして臭い。ウンコがじゃない。汚れた水槽が必要以上に臭い。ここまで臭くなくていいのに臭い。美容師は匂いには敏感な方なのだ。
また一つトリビアが増えたところで本気で匂い対策をしようと思い、濾過を考えてみた。
投げ込み式のフィルターでは濾過能力が下等生物にも勝てないらしいので、バクテリアの力が必要だと、筆者という素人は考えたのだ。
どうだこのわかりやすいパッケージ。悩むまでもない。これがバクテリアだ。バクテリアの正体なんか知らない。これを入れたら万事解決するのだ!と疑う事もなくこれを900mmの水槽の水量に合わせた適量…
筆者はO型だ。1本全部ぶち込んだ。結果、よくわからない。
今思えば、別に量を入れすぎるのは関係ない気がしてきた。 重要なのはバクテリアが住み着ける環境を整える事だった。きっと。
つまりこれを入れても何も変わった気がしなかったのだ(笑)ここで笑えるのが美容師だ。
だから次はコレを買う事にする。まだ買っていないが、買ったらまたらんちゅうの連中の話のブログを投稿するのであろう。その時を楽しみにしていて欲しい。
飼おうと思っているのはこれだ↓
外部フィルターと言うものとスポンジフィルターと言うものだ。
フィルターにもいろいろ種類があるようだが、筆者の飼育環境ではこれがベストだと筆者の脳内で答えが出た。
現在の投げ込み式は濾過能力が一番低い、ウンコ星人のらんちゅうには無意味に等しい。
濾過能力最強は底面フィルターらしいが砂利を敷かなくてはいけないらしいので却下だ。
そしたら外部フィルターだ。水槽の外で濾過した水を水槽に戻す仕組みだ。それに加え大きなゴミは外部フィルターに入る前にスポンジフィルターである程度物理濾過してしまおうと言う作戦だ。
俺の考えた俺の濾過装置みたいな言い方だが、とてもありふれた濾過の仕組みである。これをドヤ顔で説明できるのがカリスマ美容師だ。
外部フィルターにもスポンジフィルターにもいろいろな種類があるのだがなぜこれを選んだと言うと一番カッコいい気がするからだ。
いつの間にか、らんちゅうを飼育するために設備を整えるのではなく、設備を整えたいかららんちゅうを飼育すると言う流れになってない気もしないが、らんちゅうの連中とは利害関係が一致したと思いたい。
筆者のエゴで素晴らしい環境で遊泳できるのだから感謝すらされど文句を言われる筋合いはないのだ。
これからもらんちゅうにO型らしい幸せな環境づくりをしていこうと思う。